2006年08月15日

シロニー

「日本の真意が試される機会はすぐにやってきた。ドイツ、ポーランド、リトアニアを脱出したユダヤ難民三万人が、日本を通過して上海の日本人租界へ逃げ込もうとやってきたのである。

当時、ユダヤ人難民を進んで受け入れる国はほとんどなかった。イギリスはパレスティナの門を閉ざし、英連邦やラテンアメリカ諸国は難民受け入れに消極的で、アメリカは相変わらず東ヨーロッパからの移民を厳しく制限していた。しかし、ユダヤ人の歴史におけるこの重要なときに一民族絶滅の危機が数百万人の頭をよぎったこのときにかかわらず、また国内で反ユダヤ主義が人気を博していたにもかかわらず、である。その動機はユダヤ人から利益を得るためであり、強大だと言われるそのパワーを帝国の大儀に結びつけるためだった。そしてその目的は達成されなかった。難民の大半は貧しく力もなく、大した助けにはならなかった。しかし日本は方針を変えず、ドイツからの圧力に抵抗した」


「経歴」

ベン=アミー・シロニー(1937年・ポーランド)

「参考書籍」

ユダヤ人と日本人の不思議な関係・ベン=アミー・シロニー(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月05日

シロニー

「一九三六年の来日直後、ローゼンストックは新聞記者たちに、ナチの文化政策のためにドイツ音楽の水準が下がりつつあると発言した。ドイツ大使館はただちにこれに抗議し、ユダヤ人に日本の公的音楽機関で指揮、演奏、教育をさせないように要請した。これに対する日本の外務省の回答を、ドイツ大使館がベルリンへ送った報告から引用しよう。

 ユダヤ人に対する日本の公式姿勢がドイツの公式の立場とまったく違うこと、また日本にはユダヤ人難民に同情するグループさえいることは周知のことである。わが国政府としては、ユダヤ人に対する人種差別を支持するか、また彼らの立場を奪うと解されるようなことは一切できない」


「経歴」

ベン=アミー・シロニー(1937年・ポーランド)

「参考書籍」

ユダヤ人と日本人の不思議な関係・ベン=アミー・シロニー(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月01日

シロニー

「一九三〇年代後半になると、中央ヨーロッパを脱出するユダヤ人難民が急増した。その一部は東アジアへと向かったので、日本はその支配地域に彼らを受け入れるかどうかの決断を迫られた。中国との戦争によって海外で不評を買っていた日本は、ユダヤ人を厚遇すればアメリカの印象が改善すると考えた。そこで一九三八年十二月六日、日本政府のトップである近衛文麿首相、有田八郎外相、板垣征四郎陸相、米内光政海相、池田成彬蔵相兼商工相によると、日本の領域に入ることを望む者は、資本家や知的専門職であればこれを認めることを決定した。 

この方針の実施は、満州では、関東軍特務機関長の樋口季一郎と、関東軍におけるユダヤ人専門家、安江仙弘の手に委ねられた。樋口と安江はユダヤ人難民数千人の満州移住を許可した。これを受けてハルビンのユダヤ人コミュニティーは、二人の名をエルサレムにあるユダヤ民族基金のゴールデン・ブックに記載した。駐日ドイツ大使ユーゲント・オットーは樋口と安江のこの行為について抗議したが、日本政府はこれを黙殺した」


「経歴」

ベン=アミー・シロニー(1937年・ポーランド)

「参考書籍」

ユダヤ人と日本人の不思議な関係・ベン=アミー・シロニー(著)

「関連書籍」

陸軍中将樋口季一郎回想録・樋口 季一郎(著)
posted by 日本人 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月12日

ロス

「戦争にまで発展した「支那事変」に基づき、日本では「東亜新秩序」と呼ばれている、アジアにまったく新しい表情を与える目標が設定された。 「東亜新秩序」という日本の目標を単に軍事的にのみ評価するならば、日本の目標をまったく誤解し、過小評価することになるとわたしは信じている。民主主義諸国家とくにアメリカにとって日本は好戦的国家であり、平和を望む中国を襲った日本人は好戦的「軍国主義」の国民である。こうしたありきたりの見解にしたがえば、日本は盲目的な征服欲に駆られ、中国において果てしのない軍事的冒険に乗り出したが、ついに日本は-人々が予想している通り-挫折するということになる。 

だが、極東に短期間滞在しただけでも、このような見解は問題を危険なほど一面的に見ているということがわかる。そのためには何も盲目的な親日家である必要はない。 ただ「支那事変」の二つの側面をよく観察し、中国人と中国文化のきわめてすぐれた特性を知り、かつ愛することが望ましい。 わたしはそもそも日本の欧化、軍事的成功とくに国際経済面での欧米諸国との経済的競走が、日本人の東亜を見る目、すなわち日本国民の精神面における基本的性格を曇らしてしまったと信じている」


「経歴」

コリン・ロス(1885年・オーストリア)

「参考書籍」

日中戦争見聞記―1939年のアジア・コリン ロス(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月10日

ロス

「東亜新秩序は次のような最終目標をかかげている。すなわち日満中三国は共同で共産主義を打倒し、密接な経済協力の下に新しい文明を築きあげるべきだというのだ。 しかしこの日本のプログラムをただ政治、経済面でのみ見るのはまちがっている。このプログラムに先行する軍事的な征服にも、精神的動機が秘められている。 平沼は、日本国民の使命感を表明したのだ。こうした日本人の信念、使命感は普遍的であり、一方的に軍事的世界征服をうたっているのではない。少なくとももっぱら軍事的世界征服を企てているのではなく、日本を世界の模範にするのがねらいである」

「経歴」

コリン・ロス(1885年・オーストリア)

「参考書籍」

日中戦争見聞記―1939年のアジア・コリン ロス(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 01:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月09日

ロス

「日本は現人神の天皇の存在にもかかわらず、政治的な面では非常に限定された全体主義国家に過ぎず、経済的な面では今日でも依然として自由経済に固執している。 もちろん、これがすっかりあてはまるのは理論面だけである。実際には軍部の圧力があり、多くの干渉に甘んじなければならない。もっともこれには留保がある。日本には今のところ二つの流れがある。一つは陸軍、とくに青年将校たちのグループで、彼らは社会主義化とまではいわないまでも、統制経済を主張している。もう一つの流れは、自由経済に飽くまで固執する大資本である。その結果がいい加減な妥協であり、日本はそのためにますます苦しみ始めている」

「経歴」

コリン・ロス(1885年・オーストリア)

「参考書籍」

日中戦争見聞記―1939年のアジア・コリン ロス(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

ロス

「いかなる瞬間にも、宗教に深く根ざした日本の状況を見失うことさえなければ、日本の国家観を正しく理解できるであろう。もろもろの可能性を備えた日本の政策は「わが父の家には多くの部屋がある」との聖書の言葉によっていちばん正しく評価できるであろう。ナチスドイツの人々でも、本質的な事物において日独両国民の思考に共通性があることによって、かなりの影響を受けるのはたしかだ。しかし、しばらく時が経てば、たとえ日本人が全体主義国家の一つに数えられることを激しく拒否したとしても、日本人の言い分を納得するに違いない。 たしかに日本は全体主義国家の一つではあるが、やはりそうではないともいえる。日本はいつかその内的な本質にいささかも影響を受けることなしに、外交政策において根本的にまったくちがう道を歩むことになるかもしれない」

「経歴」

コリン・ロス(1885年・オーストリア)

「参考書籍」

日中戦争見聞記―1939年のアジア・コリン ロス(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

ロス

「そのうち荒木文相は「皇道」の定義として「天皇の共和国」という表現を用いた。この表現はたしかに最初の瞬間には不合理なたわごとに思われたが、根本的には実に適切であった。ヨーロッパ人にとって「天皇の共和国」は自己矛盾そのものである。二つの概念はたがいに相手を排斥し合うからである。だがアジア人にとっては、この対立のなかにはじめて完全、完成があるのだ」

「経歴」

コリン・ロス(1885年・オーストリア)

「参考書籍」

日中戦争見聞記―1939年のアジア・コリン ロス(著)

「関連書籍」
posted by 日本人 at 09:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・統治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。